Native Trout
川を駆ける銀の影<br>荒川サケ釣行録。

River Ara,Niigata

川を駆ける銀の影
荒川サケ釣行録。

[ 日本/新潟県/ 荒川 ]

プロアングラーの吉田です。

今回は村上市、荒川サケ有効利用釣獲調査に参加したので、その内容をご共有。

 

早朝の荒川は冷気が強く、澄み切った冬らしい空気が漂っていた。

水位はここ最近では低く、1ヶ月ぶりに中洲エリアが解放され、長らく解放されていなかった事でアングラー間でも期待感が高まっていた。

水質はささ濁りで、適度に光が馴染むちょうど良い状態。

 

サケ有効利用釣獲調査とは、主に川に遡上するサケ資源を適切に管理・有効活用するための特別調査。

釣り人が指定エリアでサケを釣り、その釣獲データ(体長・重量・性別など)を提出することで、資源量の把握や研究に役立てられる。

 

 

ここは、河口から上流にかけて川幅が広がりすぎず、適度な流速を保ちサケが上がりやすい川相が続くのが大きな特徴。

瀬、とろ場、深場が交互に現れ、そのつなぎ目となる筋やヨレにはサケが着きやすい。

今回の狙いは、ハイドラム100sが強すぎない存在感流れを受けすぎない安定姿勢を武器に回遊しているサケへ、どれだけ口を使わせる事ができるかを検証すること。

 

このルアーを選択した理由として…

強い流れの筋が複数走る事が多い場所で、ハイドラム100Sのスラロームアクションは、流れの中でも破綻しにくいため、ドリフトでラインテンションを抜いた操作でもしっかり泳いでくれる。

流れに乗せて自然に送り込む釣りをしたい時に非常に相性が良いということ。

 

 

早朝、サケが流心から少し外れた緩い掛け上がり付近に溜まりやすく、このタイミングではハイドラム100Sを流心へ投げず、外側のヨレへドリフト気味に送り込むといいバイトがあった。

・立ち位置より上流にキャスト(アップクロス)

・着水後カウント5~8秒でレンジを入れる。

・リーディングをせずに流れに自然に乗せる。

・ヨレに入った瞬間にバイトを誘発。

釣り上げたサケもこの釣り方だった。

 

 

当たり自体は小さく、“コツっ”とロッドに伝わってくるくらいだったが、フッキングをした瞬間に走り出し、最初の突っ込みは想像以上だった。

 

ドラグが一気に走り川の流れそのものを掛けたような抵抗感。

サケ独特の重く、粘りのある引きを肌で感じた。

抱えた時の、どっしりとした重量感。

表面の鱗は硬いのに、指先にはヌメリと温かみがしっかり伝わってくる。

 

 

体側は筋肉がぎっしり詰まっていて、手の中から抜け出そうとする力は、とてつもないパワーだった。

 

そして、この立派な尾ビレ。

 

圧倒的な生命力に感動した。

また昼に近づくにつれてサケは流れの強い瀬から姿を消し、淵の最深部や落ち込み直下の深場へ入りやすくなる。

特に荒川は日が上ると魚がボトム付近へ固まりやすいため、表層〜中層のミノーだけでは食わせきれない時間帯が出てくる。

この状況では、ハイドラム100Sにシンカーを追加してレンジを深く設定するのが効果的だった。

 

 

フロント側のフックアイにグレネードシンカー2g〜4gを着ける事で沈下速度を確保し、カウント10秒〜15秒しっかり沈めてからボトムに触れるか触れないかのギリギリのレンジをゆっくり通す。

コツンっと微かな当たりがあったが、掛けられず。

 

ジャークやトゥイッチを派手にやるより、スローリトリーブやナチュラルドリフトでの自然さがサケには効く。

特にハイドラム100Sのナチュラルスラロームは、流れに馴染ませるだけで十分に誘いになる事を改めて再認識した。

 

 

荒川のサケは時間帯と流れの変化で居場所が大きく動くため、その変化に合わせてレンジ・重さ・アプローチを切り替えられるかどうかが釣果を左右する。

 

本釣行は、その基本を改めて実感し、今後の釣りにも活かせる多くの気づきを得られた。

[ ITEM ]

RODS: DainsleiF Ondine 8’04M +
REEL: 3000-H
LINE: PE1.2号
LEADER: Nylon17.5lb
HARDBAITS: Hydram100S

[ INFO ]

季節/天候: 11月上旬/曇り時々雨
気温/水温: 10℃程度
釣り時間: 約8時間
釣果: サケ1匹
備考: 調査のため事前申込制。詳しくは荒川鮭有効利用調査委員会事務局ホームページを確認ください。

[ ANGLER ]

吉田 和真

Yoshida Kazuma