New Close up!! Vol,1 新たなるスタンダード。アストラル1.6gに迫る!!荒川通

VALKEIN  CLOSE UP !

 

新たなるスタンダード。

アストラル1.6gに迫る!!

 

解説=プロスタッフ荒川 通 ARAKAWA TORU

ヴァルケイン・プロスタッフ。スピードスターの異名を持つエリアアングラー。トラキン・エキスパートのロデオフィッシュ戦では2年連続優勝の経験あり。元来はスプーンの釣りを得意とするが、最近ではプラグの釣りも高次元で使いこなし、効率的かつ合理的なパターンを展開する。アストラルのほか、ダーインスレイヴのISシリーズをプロデュース

 

 

【新作アストラル1.6g。その究極のポテンシャルを徹底解説!】

 

 

 

ヴァルケイン・プロスタッフである荒川 通が訪れたのは栃木県大田原市にある『アングラーズパーク キングフィッシャー』。ここは那須連山からの豊富な湧水を利用したクリアな水質が特徴のエリア。5つのトラウトポンドとバスポンドがある名門釣り場だ。

 

 

 

[アングラーズパーク キングフィッシャー]

住所=栃木県大田原市乙連沢593

TEL=0287-23-1253

HP=https://kingfisher-tochigi.com/

 

「見てもらえばわかりますが、どの池も水質がクリアで、しかも魚影が濃いのがキングフィッシャーの特徴です。『今日、はじめて釣りをするんです』という方ならレギュレーション的にも、いろいろなルアーが使える1号池。大型魚を狙いたいなら2号池、3号池。仲間と楽しくなら広い4号池。そして、技術を磨く釣りをしたいなら水深もあって、トーナメントも行われる5号池など、いろいろなスタイルでエリアの釣りが楽しめるのがキングフィッシャーの魅力でしょう」と荒川。

 

そして秋晴れのキングフィッシャーの5号池で、荒川はスプーンをセットしてキャスト。着水して、ゆっくりと巻きはじめる。するとその1投目からヒット。そう、このルアーこそが、今回、クローズアップするNEWアイテムの『アストラル1.6g』だ――。

 

キングフィッシャーの5号池で釣り開始。新作のアストラル1.6gをキャストする――。その反応はすぐに出た。さて、このルアーの持つ実力とは!?

 

 

【コンセプトは『サーチ&アジャスト』】

 

アストラルは今回の1.6gに先立ち、2.4gが発売されている荒川プロデュースのスプーン。

「先行して発売している2.4gについてですが、通常、このウエイトは重めのスプーンと分類されがちです。となると『重め×高活性×スピード領域はちょっと速め=状態のいい魚を獲って行く』という図式がイメージされます。もちろんその一面もありますけど、アストラル2.4gはそれだけではなく『低速で見せて、しっかり喰わせられるアクション』を追求したスプーンなんです」と荒川は語る。

 

 

つまり、高活性の魚を速めのリトリーブで『サーチ』して釣ることはもちろん得意だが、それだけでは釣りきれない魚に対して、スローに見せて『アジャスト』させることもできる。まさに『サーチ&アジャスト』。それが荒川がプロデュースするアストラルというスプーンの強みというわけだ――。

 

【スライドするスプーンとの違い。デッドスローでの安定性と喰わせ】

 

1.6gというアストラルのNEWサイズを作るにあたって、荒川が最も苦労したのが『スイム時の安定性の確保』だ。「厚みもウエイトもある2.4gでは、自重で安定感が確保されていましたが、1.6gでは板厚が薄くなり、シルエットもひとまわり小さくなる。すると形状的にどうしても低速域でスライドが発生する。板厚が薄くなり、ウエイトも軽くなった分、低速で泳いでいる際、ピッチの戻る力が弱くなる。試作ではそこでスライドが起きていました。1.6gでは、その点の改良に相当、悩まされました……」と述懐する。

 

「低速域でもスライドが起きない」。これがアストラル1.6gに課せられた命題

 

これはスライドを否定するものではない。むしろ、オートマチックにスライドすることが強みであるスプーンもある。「スライドが特性のスプーンもあって、ルアーローテーションの中で、その差別化を明確にしたかった。そのほうが、スライドするタイプとしないタイプの両方の特性が生かされますから。だから、アストラル1.6gでは、ロッドを立てて巻く際やレンジを巻き下げていくようなテンションが緩む低速域で発生するスライドを、どうしても抑制したかったんです」。

 

【アングラーの意図に染まる――。個性は使い手次第】

 

さて、新たなるウエポン、アストラル1.6gの釣れる使い方について聞いてみよう。

「基本はレンジキープを意識したタダ巻き。スピード領域は広いので、まずはやや速めの巻きで比較的高活性の魚をサーチして釣る。まずは、そこですね。そのうえでポテンシャルを最大限に引き出すためにも、とにかくスローに巻いて見せて喰わせてほしい。この『デッドスローでの安定性と喰わせ』こそ、アストラル1.6gの真骨頂です」。この低速域でもブレない高次元な安定性があるからこそ、巻き上げ、巻き下げなど、テクを駆使した使用時にもアングラーの思い通りの攻めが展開できる……というわけだ。

 

まずはレンジキープを意識したタダ巻き。高いサーチ力を生かし、アストラル1.6gでその釣り場の状況を把握。そのうえでスピードやレンジをアジャストさせてみよう

 

「意図的なイレギュラーやスライドを起こしたい場合はロッド操作や巻きのリズムによって任意でそれを起こすこともできる」。つまり、オートマチックモードで簡単に走らせることもできれば、マニュアルモードで意のままに操作して走らせることもできる。それが広いスピード領域で使えるのがアストラル1.6gのポテンシャルだ。

 

 

【ポテンシャルを引き出す基本的な使い方】

 

1)比較的、高活性な魚をサーチして獲っていくための『速めのリトリーブ』

→速めの巻きでは、しっかりワイドにボディを振ってアクションする。

 

2)ゆっくり見せて喰わせる『デッドスロー』

→イレギュラーを嫌う魚に対して、デッドスローでアプローチ可能。

 

3)巻き上げ、巻き下げ、多彩な巻きでOK

→一定レンジ以外の巻きや、意図的なアクションを入れると素直に反応。

 

 

荒川’S アドバイス!!

【マイクロを使う感覚で使用する!】

 

「スローの場合、僕の中の使い方のイメージは、マイクロスプーンの延長線上にいるような感じですね。マイクロスプーンの『スローに見せて喰わせる』という作業を、より遠く、より深くやるようなイメージです。1.6gの射程範囲でマイクロを引く感じで使ってもらえるとポテンシャルが発揮されると思います。ただ、やはりマイクロよりも範囲が広がるので、操作性のよさも必要になる。それを満たしたのがアストラル1.6gです」

 

VOICE ~荒川の本音~

 

 

この曲線、反り具合を量産モデルで出すのはなかなか難しく、修正は何度も行われた。その妥協なき執念が実を結び、荒川の理想とするアストラル1.6gが完成した

 

アストラルは荒川が手掛けたスプーンだ。そのポテンシャルや使い方は前述の通りだが、今回の1.6gが完成に至るまでには、かなりの苦労があったという。

 

「低速域でのアクションですよね。そこでスライドを出ないようにするのが大変でした。手曲げのサンプルでは、ベストなフォルムが作れても、それが製品版となる量産ベースのモデルではなかなか出せない。低速域でスライドが入ってしまう。正直、それでも釣れるんです。ただ、それは僕が求めたモノではない。アストラルだけで放流後の高活性状態から低速でないと喰わない状況まで、長くアジャストさせられるスプーンでありながら、ローテーションのひとつ、ラインナップのひとつとして、他のスプーンとの違いを明確に出す必要がある。だからこそ、低速時のスライドを発生させたくない。その部分の調整に時間が掛かり、当初の発売予定時期よりも遅れてしまうことになってしまいました」

 

発売時期が遅れはしたが、その分、妥協を許さず、徹底して作り込んだアストラル1.6g。そのアクションは荒川が求める理想のものとなって完成した。

 

ライターズ・アイ ~記者の目~

アストラルをベースにローテの幅を広げたい!

 

 記者が取材を通して、思ったのはビギナーに関して言えば、今回の1.6gと先行して発売されている2.4gの2ウエイトのアストラルを持っておけば、かなりの状況下に対応できるであろう……ということだ。よりスピーディに放流魚を獲っていきたい場合にはハイバースト。あるいは、もっとアピールを抑え、タイトロールで攻めたい場合はアイスフェイクという選択もあるだろう。そして、同じようにアストラルが最もマッチするという状況もある。それらが『その状況下での大正解』だとする。その大正解を導き出すためには、球数(ルアー数)と、それらを選択する能力も必要になる。悲しいかな、自分にはそれだけの球数も能力もまだ身についてはいない。

 

そこでスピード領域も使用状況の幅も広いアストラルがあれば、『大正解』は難しくても、安定して『正解』あるいは『合格点』は出せるようになるのではないだろうか。ビギナーなら、まずはアストラルを使い倒して、それで安定した釣果を出す。そのうえで、ハイバースト、アイスフェイク、マークΣなど、さらにアジャストする可能性のあるスプーンを覚え、より精度の高いローテーションの方法を身につけていく。そのレベルに上達するためのベースルアー。その大役をアストラルに委ねたい。

 

【MATCH THE TACKLE

 

今回、荒川がアストラル1.6gに使用したロッドはダーインスレイヴ6’2IS-MLという最新作のプロトモデルにリールは18イグジストLT2000SP。ラインはフロロ1.5lbというセッティングだ。

 

 

 

「ロッドは僕がプロデュースするISシリーズの5作目となるモデルのプロトです。前に出ている4本のすべてを凝縮させた集大成的なモデルで言うなれば『究極のオールマイティロッド』です。ISシリーズ全体に言えることですが、割りとシャッキリとハリがあるのが特徴です。スプーンはもちろん、クランクに関しても、操作性も感度とも抜群に使いやすいモデルです。刻んだレンジをキープして泳がせたいので、ラインはウエイトのあるフロロをセットしています」。

 

【こちらも注目!】

風吹く冬のエリアの武器になる!

ヴァルキャノン4gがリリース予定!!

「これも見ますか?」と、取材後半、荒川がこっそりと取り出し、見せてくれたのはNEWウエイトのヴァルキャノン。

 

「既存のモデルは2.8gですが、新作は4gとなります。ボディがより大きくなっているので、バイブレーションがより強く、ブルブル感も大きくなっているのが特徴です。ブルブル感が大きいため、遠投時や風の強い状況下でも、操作時の感触が明確です。これだと横風の強い冬場や春でも、しっかりアクションが伝わり、アピール力が損なわれない。これからの時期、アングラーの強い味方となってくれるアイテムになると思います」